
映画『Ryuichi Sakamoto | Trio Tour 2012』劇場ポスター
先日、映画『Ryuichi Sakamoto | Trio Tour 2012』を観てきました。
ここ最近、亡くなられてからというもの、あらためて坂本龍一(以下、教授)の音楽を聴き直す機会が増えています。
とはいえ、「好き」と言いながらも、正直まだまだ知らない作品も多いのが現実。
今回の作品は、そんな自分にとって、まさに“新しい教授の世界との出会い”となりました。
これまで聴いてきた教授の音楽とは、どこか違う。
いや、正確には――同じ曲のはずなのに、聴こえ方そのものが変わった、という感覚でしょうか。
ライブ映像を観ているうちに、音と音の間や、3人の演奏者の距離感のようなものが、じわじわと伝わってきて、気がつけばその世界に引き込まれていました。
いわゆる派手な作品ではありません。
ですが、静かに、そして確実に、音楽の感じ方そのものを変えてくる――そんな不思議な力を持った作品でした。
今回は、その感想を、オヤジ(Robert)なりの目線で残しておこうと思います。
👉 坂本龍一関連の記事はこちら
映画『Ryuichi Sakamoto: Diaries』がきっかけで聴き直したYMO名盤『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』」感想
映画『Ryuichi Sakamoto: Diaries』感想|坂本龍一が遺した最後の時間と、オヤジが向き合った「自分の死
映画『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』感想|1984年の東京と30代の教授が記憶に残る理由

ポイント

本記事の信憑性

・特に映画通でもなんでもない
・映画鑑賞暦40年以上!?
・CD1000枚以上コレクション
・坂本龍一(教授)大好き
・音楽大好きの元技術系サラリーマン
オヤジ(Robert)による既鑑賞作品に関する感想について、備忘録も兼ねてご紹介!
この記事を読んで
『Ryuichi Sakamoto | Trio Tour 2012』鑑賞してみようかな?
と思って頂ければ、オヤジ(Robert)幸せです。
(注意)
以下、ネタバレの可能性もありますのでご注意下さい!!
*本ページはプロモーションが含まれています。
1. 『Ryuichi Sakamoto | Trio Tour 2012』の魅力|”音の共鳴”が見えてくる感覚
この作品の魅力をひと言で表すのはなかなか難しいのですが、
あえて言うなら、
「音の共鳴が見えてくる作品」といったところでしょうか。
ライブ映像として観ているはずなのに、ただ演奏を“聴く”というよりも、
音と音が重なり合う瞬間や、演奏者同士の呼吸のようなものが、視覚的にも伝わってきます。
ピアノ、チェロ、ヴァイオリンというシンプルな編成だからこそ、
それぞれの音の役割や距離感が際立ち、3人の間で生まれる“間”や“余白”のようなものがなんとなく感じられました。
そのせいか、これまで何度も聴いてきたはずの楽曲でも、


と、聴こえ方が少し変わる瞬間がありました。
うまく言葉にするのは難しいのですが、
音楽を“理解する”というよりも、“感じ方が少し変わる”ような体験でした。
坂本龍一の音楽をある程度聴いてきたつもりでも、
まだ知らない側面がある――そんなことをあらためて感じさせてくれる作品です。
2. 『Trio Tour 2012』とは?(基本情報)


※画像は劇場配布チラシより(撮影:筆者)
『Ryuichi Sakamoto | Trio Tour 2012』は、坂本龍一が2012年に行ったワールドツアーのなかの東京公演(赤坂ACTシアター)を収録したライブ映像作品です。
編成はシンプルなトリオ形式で、
・ピアノ:坂本龍一
・チェロ:ジャック・モレレンバウム
・ヴァイオリン:ジュディ・カン
アルバム『THREE』をベースにした全17曲の演奏が収められています。
いわゆる大編成のコンサートとは違い、かなり静かでミニマルな構成。
その分、音そのものにじっくり向き合える内容になっています。
※映像の空気感が伝わる短い予告編です(約30秒)
Ryuichi Sakamoto | Trio Tour 2012 / 劇場予告35秒【WOWOW】
3. 音の“共鳴”という感覚について
今回の映像を観ていて一番印象に残ったのは、やはり“音の共鳴”のようなものです。
といっても、難しい話ではなくて、
3人の音が重なったときに、単純に「音が増える」という感じではないんですよね。
むしろ、音と音の間にある“間”のようなものが、よりはっきりと感じられる――そんな印象でした。
ピアノが前に出る場面もあれば、チェロやヴァイオリンがそっと支える場面もある。
ただ、そのどれもが主張しすぎることなく、絶妙なバランスで成り立っている。
その結果、3人で演奏しているというよりも、ひとつの音のかたまりのように聴こえる瞬間がありました。
この感覚は、音源だけで聴いているときにはあまり意識していなかった部分で、
実際に演奏している姿を観ることで、音だけでは分からなかった“演奏の熱”や温度感のようなものにも、はじめて気づかされる場面が多かった気がします。
音楽を“聴く”というよりも、
「音がどう重なっているのかを感じる」――そんな体験でした。
4. 2012年という時代の空気感


上映会場のロビーの様子(静かな雰囲気が印象的でした)
この作品を観ていて、もうひとつ強く感じたのが、2012年という時代の空気感でした。
ご存じの通り、このツアーが行われたのは東日本大震災の翌年。
作品の中で直接的にそのことが語られる場面は多くはありませんが、全体を通してどこか静かで、内側に向かうような空気を感じました。
音も、必要以上に重ねず、あえてシンプルに保っているような印象があります。
後年、ドキュメンタリーなどの映像で見せていた、自然音や環境音に関心を寄せる教授の姿を思い返すと、
この時期はそうした方向に向かっていくひとつの過程だったのかもしれません。
あくまで観ていて感じた範囲ですが、
そうした時代背景のようなものも、この作品の空気感に少なからず影響しているように思えました。
5. MCから伝わってきた、教授の“素の感じ”
今回の映像で、もうひとつ印象に残ったのが、教授のMCでした。
正直なところ、これまでの教授のイメージは、YMO時代も含めてあまり多くを語る印象がなく、どちらかというと寡黙に演奏している姿が思い浮かびます。
ただ、この映像の中では、曲の背景や共演者について、思っていた以上に丁寧に言葉で説明してくれていました。
ご本人も「今日は少ししゃべりすぎ」といったようなことを話していましたが、
その言葉どおり、どこかリラックスした雰囲気の中で、自然に言葉が出てきているように感じました。
こうしたMCが入ることで、演奏されている曲の背景や意味が少しずつ見えてきて、
理解できたというよりも、自然と入ってきたような感覚がありました。
演奏の素晴らしさはもちろんですが、
こうしたMCの部分も含めて、“Live感”を体験できるのが、この作品の魅力のひとつだと思います。
6. 印象に残った楽曲
今回の映像の中で、特に印象に残った楽曲をいくつか挙げておきます。
■ Happy End
もともと原曲よりもオーケストラのライブ版が好きな曲ではありましたが、
トリオ編成になることでより切なさが際立った印象です。
タイトルから想像するイメージもありますが
オヤジ(Robert)的に聴いていて一番グッときた一曲でした。
■ Rain
映画『ラストエンペラー』でも印象的な楽曲。
ピアノとストリングスの掛け合いが美しく、静かな中にも緊張感のある展開が印象に残りました。
この曲も、映像で観ることで、音の重なり方や表情の変化がよりはっきりと感じられたように思います。
■ Parolibre
アルバムの最後を飾る一曲でもあり、長いピアノソロから始まる流れが印象的でした。
後半に向けてストリングスが重なっていく展開は、3人の関係性そのものを表しているようにも感じられ、
静かな余韻を残して終わる構成が心に残りました。
7. アルバム『THREE』をあらためて聴いてみて
実は、この作品を観るまでは、お恥ずかしながらアルバム『THREE』の存在自体を知りませんでした。
今回の映像を観てから興味を持ち、早速そのままアルバムを購入して聴いてみたのですが、
最初に感じたのは、「トリオの作品として聴こえてくる」という新鮮さでした。
それまでは単純に音として捉えていたものが、
ピアノ・チェロ・ヴァイオリン、それぞれの関係性を意識しながら聴けるようになり、頭の中に3人の演奏の様子が自然と浮かんでくるような感覚がありました。
そのせいか、ひとつひとつの楽曲がより立体的に感じられ、
より深く味わえるようになった気がします。
最近まで晩年の教授の作品をよく聴いていたオヤジ(Robert)にとっても、
教授の音楽に対して持っていた印象が少し変わるような、新鮮な体験でした。
こうして音と映像を行き来して楽しめるのも、この作品の面白さのひとつだと思いますし
これからも、長く楽しめそうな作品だと思います。
今回のように、映像をきっかけに音楽の聴こえ方が変わる感覚を得られるというのは、なかなか面白い体験ですね。
もし気になった方は、まずアルバム『THREE』を聴いてみると、この作品の印象がまた少し変わってくるかもしれません。
さらに、今回のライブ映像作品自体もあらためて手元で観てみると、音の重なりや演奏の細かい部分など、より深く楽しめるのではないかと思います。
8. この作品を観て感じたこと
オヤジ(Robert)的には、


と思える作品でした。
上映時間としても長すぎず短すぎない、ちょうどいいバランスの編集だったと思いますが、
それでも一度の鑑賞では見きれていない部分や、記憶から抜けてしまっているところも正直多くあります(汗)。
そういう意味でも、もう一度観ることで、さらに理解が深まる作品のように感じました。
👉 あわせて読みたい
映画『Ryuichi Sakamoto: Diaries』がきっかけで聴き直したYMO名盤『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』」感想
映画『Ryuichi Sakamoto: Diaries』感想|坂本龍一が遺した最後の時間と、オヤジが向き合った「自分の死
映画『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』感想|1984年の東京と30代の教授が記憶に残る理由
9. まとめ|音楽の“聴こえ方”が少し変わる作品
今回、『Ryuichi Sakamoto | Trio Tour 2012』を観て感じたのは、
音楽は「聴くもの」であると同時に、「感じ方が変わっていくもの」なのかもしれない、ということでした。
これまで何気なく聴いていた音も、
演奏している姿やその関係性を知ることで、少し違って聴こえてくる。
そんな体験ができたこと自体が、この作品を観て一番よかったと感じた点かもしれません。
坂本龍一の音楽をすでに知っている方にとっても、
そしてこれからあらためて聴いてみようと思っている方にとっても、
何かしらの“気づき”を与えてくれる作品だと思います。
静かではありますが、じわじわと効いてくる――
そんな一本でした。
今回のような映像作品を観ていると、やはり坂本龍一関連の他の作品も気になってきます。
現在はWOWOWなどで特集が組まれることもあるので、タイミングが合えばまとめてチェックしてみるのも良いかもしれません。
坂本龍一の他の作品についても書いていますので、よろしければこちらもどうぞ。
-


関連記事映画『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』感想|1984年の東京と30代の教授が記憶に残る理由
Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto 映画ポスター 昔の坂本龍一ってどんな感じだったの?マサマサ 1984年の東京。まだ30代だった坂本龍一(以下、教授)が、街を歩き、語り、演奏 ...
映画『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』感想|1984年の東京と30代の教授が記憶に残る理由 この記事を読む